今年の3月31日、キバナネコノメソウを見に梅ヶ島の西日陰沢(858m)に入った際、不思議な植物を見つけた。山伏岳登山ルート西日陰沢の駐車場付近である。
昨年の葉が密集している中から新しい葉がニョキニョキと出てくるさまは初めて見るものであり不気味でもあった。
新芽はビッシリと羽毛に被われており生まれながらにダウンジャケットを羽織っているようなヤツである。この葉を触ってみてその感触に驚いた。なんとも言えない愛着を感じる不思議な不思議な手触り。だがその時はなんでこんなに愛おしい感触なのかわからなかった。いやそれどころか「お前はいったいだれ?」という気持ちが先に立ってしまったのだろう。
家に帰ってこいつが何者なのか検索してみたらどうやら帰化植物の[ビロードモウズイカ]らしいとの確証を得た。「それにしてもなんでここに?」この沢の上流には民家はない。ここはいろいろな野生動物の死体や骨が流れてくる所で、アマティにとっては野生に戻れる最後の楽園なのだ!...そんな所なのにこんな所まで侵入してきたのか、いまにタカサゴユリのように日本中どこにでも花を咲かせようと言うのか?
「今度行ったときに全部切り倒してこよう」と思ったもののわたしの指に残るあの葉の感触はどうしても憎めぬものがあった。
そして今日、恐らく今頃は花を咲かせてるのではなかろうか?と思って出かけてきた。
アマティは現地に着くなり「早く降ろして」とせがむのを「マテマテ」と頭をさすりながら自分の手の感触に衝撃を得た。アマティの垂れ耳に密集する毛はまさにビロードの感触である。「これだ〜!」3ヶ月間モヤモヤしていたわたしの迷いが一気に解けた瞬間だった。
ビロードモウズイカは背丈が伸び花芽を付けていました。
今朝まで降っていた雨は繊毛に水滴をたくさん作っています。
驚いたのは葉の裏側の葉脈(主脈のみ)にミゴトに水滴が並んでいることです。
次の個体は同じものですが開花は近いですよね、1週間かなぁ?
花芽が伸びる前の様子です。繊毛の感触、葉の肉厚からラブラドールの垂れ耳の感触に酷似しているとわかった今、いくらにっくき帰化植物だからと言って全て刈り取ることは出来そうに無い。しかし、いま行動を起こさないとタネは瞬く間に安倍川を流れ大浜の河口までビロードモウズイカがはびこるかもしれない。う〜む!...
後で気付いたのだが肉厚の葉でも暖かいと感いたことはないが、3月にこの葉を摘まんだとき暖かく感じたのは羽毛に包まれていたからではなかろうか?それがわたしには異様に感じさせtのかもしれない。