チェロのギアペグ(機械式糸巻き器)
チェロの調弦はなかなか厄介な作業です。糸巻きが楽器の糸箱に食い込むような力を入れながら回さないとすぐに緩んでしまうからです。4本の太い弦の張力に楓の木と黒檀の摩擦で耐えなければならないからなおさらです。
チェロの糸巻きも「コントラバスやギターのように歯車付きだといいのに」とよく聞きます。これ、あるんですよ、見たことあります。40年ほど前、某公立中学校のオーケストラで使っているチェロは全部コントラバスの歯車を小型化したものが付いていました(多分特注だと思います)。
しかし、もっと画期的なチェロ用糸巻きが存在していたのです。ちょうど今から48年前、ベルリンで今のチェロを買うときでした。指板もペグも付いていない調整前の楽器を帰国の都合で無理矢理譲って貰ったのですが、マイスターから指板とペグを選ぶように言われたのです。指板はC線側が平らに削られているものと、ヴァイオリンのように削らず丸くなっているものとどちらにするか?ペグは黒檀のものとプラスチック製で中に歯車が入っているものとどちらにするか?わたしは迷わず一般的なC線側を削った指板と黒檀のペグを選びました。
そしていま、左手を痛め思うようにペグを回せなくなってしまった自分を見つめ。また何度調弦しても弦が緩んでしまうお弟子さんのことを思ったとき、ふとこのときの歯車内蔵のプラスチックペグのことを思い出したのです。48年も昔のことですから、もし実用的なものならいまでも市場に出ているのではないかとの微かな思いで検索してみたら、なんとあるじゃないですか!... Wittner社から販売されています。
1枚目2枚目の写真がそれを取り付けたものです。見た目は歯車が入っているとは思えません。
次の写真がギアペグの本体です。軸の右側にバリが出ているように見えますが、これがストッパーとして固定され、軸の左側とグリップ部がゆっくり回るようです。 (この記述に関してはやや疑問が残るので再確認できたら追記します)
メーカーの内部透視モデルを見るとグリップ部の中に歯車のようなものが見えます。
だからグリップ部をグルグル回すとゆっくりゆっくり巻き上げてくれるのですね。
ただ、弦を交換するときは大変な作業になります。そんな時のためにハンドル付きのアダプターが同じWittner社から発売されていました。
さて、実際に調弦してみたのですが、左手の親指が痛くても見事にうまく調弦できます。 +・- も微調整できます。
テールピースのアジャスターは全く必要ありません。
ただし、取り付けは専門家に依頼しなくてはなりません。
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