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2022年3月16日 (水)

ナイロン弦に挑戦

チェロのナイロン弦OBLIGATO(オブリガート)と
   evah pirazzi(エヴァピラッツィ)
チェロを初めた六十数年前、チェロの弦はガット弦からスチール弦に移行する頃だった。もちろん練習用のバイオリンやチェロの弦はかなり以前からスチール弦が使われていたが、この頃から質のよいスチール弦が出始めたと言っていいだろう。当時ロストロポーヴィチがプリムのスチール弦を付けていたといって話題になったものだ。
その後チェロはスチール弦が主流になっていく。
そんな時期にチェロを始めたので最初からスチール弦を用い、ガット弦は一度も使ったことがない。
その後もスチール弦はさらに進化し、わたしはついにLAESEN (I,II)SPIROCORE tungsten(IV,V)を組み合わせバリバリに音が出る仕様にすることが出来た。
さて、わたしも老齢化し、余生はCasalsBACHに浸透しようとトーベル版を毎日弾いているのだがCasalsのフィンガリングは開放弦とフラジレットを多用しているので違和感があり、スチール弦でこのフィンガリングは難しすぎてわたしには無理である。
そこで散々悩み考えたあげく「そうかCasalsは生涯ガット弦だった」ことを思い出し、わたしもガット弦を使ってみようという気になった。しかしいきなりガット弦を弾く自信はわたしには全くないのでまずはナイロン弦を弾いてみようと思い立った。
ドイツのPIRASTORO社からOBLIGATOとevah pirazziという名高いナイロン弦がセットで発売されているのでテストしてみた。(あくまでもわたしのチェロMartin Stossと弓A.Vigneronでの試奏である。
[オブリガート]
4本取り付けて驚いたのは調弦が定まらないこと。弦がいくらでも伸びているようで、4本調弦するのに1時間もかかってしまった(その後も1ヶ月経ってもまだ安定しなかった)。アジャスターはほとんど意味をなさない。
しかし音色は艶やかでパワーもありさらに倍音もよく出ていて素晴らしい。
ナイロン弦のセットとばかり思っていたものの、A線はスチール弦で他3本がナイロン芯にスチールを巻いたものだった。
D
線がとてもよく鳴るのは嬉しい。残念なのはC線の反応が悪くパワーもないので現在はスピロコア(タングステン)を付けている。
[エヴァピラッツィ]
こちらもナイロン弦のセットとして購入したものだが、実際にはA、D線はスチール弦でG、C線がナイロン弦だった。新しい弦を張っても調弦が一発で定まるのには驚き。アジャスターも最初から4本とも使える。
大変華やかで美しい音色でパワーもあっていて気持ちいい。4本の弦のバランスも良くC線も許容範囲ではあるがスピロコア/タングステンの方がさらによく鳴る(ナイロン弦はG線のみであとはスチール弦となってしまうが)。
G
線のナイロン弦は音量もあり深みのあるステキな音がするのだが、C線のスピロコアとの相性がよくないので最終的にはG線もC線と同じスピロコア/タングステンに落ち着いている。結局4本ともスチール弦となってしまった。

そのうちに再度LAESEN)・SPIROCOREの組み合わせのスチール弦に張り替えて比べてみようと思うが、いったんナイロン弦の柔らかさを味わってしまうと以前のスチール弦に戻るのも怖い気がする。
さらにこの2種類の弦は開放弦もフラジオレットも自然な美しい音色なのも魅力。また、ウルフトーンも抑えられている。
ほぼ半年間、ナイロン弦をテーマに弦を取っ替え引っ替え交換してみて結局4本ともスチール弦に落ち着いてしまったがこの組み合わせが一番気に入っている(写真2枚目)。
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