貝塚 徹作:メノコマキリ
これは富士山中腹に生えていたイタヤカエデの大木です。
静岡市内でも深山に入れば出会うことがあります。楓の種類としては一番大木になるようですが、秋には紅葉とも黄葉いえない褐色となって落ちます(すなわち美しくない)。
Wikipediaにはヴァイオリンやチェロの裏板になると書いてありますが本当かなぁ?... 確かにメイプルと言われますが、日本の楓とは違うようですが... まぁ楓の種類ですから「弦楽器に用いられる」としておきましょう。その方がうれしいです。
さて、本題はこの木材を用いた工芸品のことです。
数年前から北海道のアイヌ部落二風谷を訪れ、貝塚 徹氏の工房でマキリ(短刀)を見て以来その美しさの虜となり、苦慮の末先日購入したものの材質がこのイタヤカエデだったのです。
短刀と言えば普通は刃の美しさが問われるのですが、もちろんこの刃も美しいのですが、さらに感動を高めるのはこのシースです。シースは普通は革製ですが、アイヌはイタヤカエデを用いたこんなに美しいものを残しました。うろこ状の模様はアイヌ独特のもので、そのグリップの良さは他に類を見ません。もちろん中はくりぬきです。
ハンドル部分は普通は鹿角が多いけれど、鹿角はベルトへの止め道具あるいは装飾として用い、シース一体となったイタヤカエデです。グリップ力は暖かく万全です。
赤い実がかわいいですねぇ。何でできているのでしょう?
うろこ状の細工です。見事なものです。
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