ベートー仮面
「もっとベートーヴェンの音楽を理解したい」と言うピアニストに、わたしは長年温めていたあるアイディアの提案をした。それは温めては来たがとても実践させるには忍びないとんでもない提案だからである。
「ベートーヴェンのお面をかぶって弾いてごらん」というものだったのだ!
これには確たる裏付けがある。たとえば天狗のお面をかぶればすぐに天狗の振る舞いができる。ひょっとこのお面をかぶればひょっとこの振る舞いがいともたやすく出来る。
さすれば[ベートーヴェンのお面をかぶればベートーヴェンの音楽を理解できるはずである]と言う発想である。
しかし、そんな話に乗る音楽家などいるはずもない!と思っていたらなんと現れた。
すると「ピアノの音が変わった」と本人も驚いてそのお面を持ってわたしに聞かせに来たのである。
確かにお面を付けて弾くのと付けずに弾くのとでは全く音色が変わっていた。
わたし自身もこれほどまでに音楽が変わるとは思っていなかったほどである。
そこでわたしもそのお面を付けベートーヴェンのチェロソナタを弾いてみた。
驚くことに、まさにベートーヴェンが弾いているような錯覚を覚える。
今後はお面に加えて衣装を着ければ、さらに充実したものとなろう!また、このお面には目が開いていない。これは今後の改良点で、ベートーヴェン自身の目線(何を見ているのか)を推測するのにとても重要なことではないかと思う!
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コメント
んーこれは突き詰めていくと、「演奏」というジャンルとはまたぺつの表現の世界ですねぇ。マジメなんですよね?
やっばり「かたち」って大事なんですね。
投稿: オレンジ | 2012年5月15日 (火) 22:40
マジメですよ!
イヤ、演奏自体が変わってくるんです。
気のせいでなく、明らかに音が変わってくる!
芝居でも舞踏会でも仮面は使うのに、演奏に使わないのはなぜなんでしょう?
投稿: yopi | 2012年5月15日 (火) 22:47