「泉屋のアユを食わずして死んではいけない」と言われるほど有名な岐阜の鮎料理の店である。
いまは、ネットで電話番号を調べ、カーナビにそれを打ち込めば、あとは黙っていても店の前まで案内してくれる。すごい世の中になったものだ。それも、時間を予約してあるので、カーナビの所要時間を見ながらピッタシの時間に到着することができるのもすごい。その上ETC割引で1,000円である。
店に入ると特等席に案内してくれた。
カウンター席で、その目の前で鮎を焼いているのだった。
炭火で30分の時間をかけ、骨までじっくり焼いてくれる。この焼く姿を見るだけで、この店の鮎の味が想像できる。店の店主はこの塩焼きに付きっきりで黙々と何十匹もの鮎を焼き続け、その合間に盛りつけを行っている。
塩焼きは長良川産と飛騨川産を同時に喰うことが出来た。同じ鮎でも捕れる川によってこんなにも味が違うとは!
飛騨川産は口に入れた一瞬「淡泊だなぁ!」と思ったのもつかの間、鮎の腸(ワタ)のかおりが口中に広がり一気に幸せ感に包み込む。貴重な体験をした。
最も驚いたのはこの写真の“熟(な)れ寿し”だった。
「熟れ寿司(雄と子持の2種)。これが噂の熟れ寿司かぁ!」確かに絶品。熟成させた鮎で、乳酸発酵したご飯にくるまれている。こんなものは喰ったことがない。特に左の雌の(当たり前だが)子持鮎の熟れ寿司は絶品中の絶品。これ喰わずして鮎の話は出来ないと言われるのもよくわかる。ただしかなり塩辛いので、ビール無くして多くは喰えない。
料理はコースで頼んだので、次々と鮎料理が出てくる。最初の写真は鮎を塩焼きした上に、うるかをみりんで煮込んだ汁をかけた味噌田楽(味噌は使ってない)。これも絶品。
そのほか鮎の天ぷらや焼き鮎の笹巻き寿司、鮎雑炊など鮎づくしの幸せな食事だった。